2007 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚に寄生するハダムシの着定機構の解明とその応用に関する研究
Project/Area Number |
07J04232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木南 竜平 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 寄生虫 / 着定機構 / トラフグ / 粘液 / 単生類 |
Research Abstract |
当初は、様々な海産魚に寄生するハダムシ、Neobenedenia girellaeの孵化幼生の着定機構の解明を行う予定であったが、寄生虫の維持が困難であったことなどから、国内のトラフグ養殖においてより問題となる近縁種、Heterobothriam okamotol(以下エラムシ)の孵化幼生の着定機構の解明を試みる事となった。 我々は、海中を泳いでいるエラムシ孵化幼生が宿主であるトラフグを認識し、寄生生活に入る着定という現象に着目した。着定機構の解明の第一歩として、孵化幼生がトラブグを認識する何か(物理的・化学的性状)を特定することを第一の目的とした。 まず初めに、トラフグの体表粘液と鯉粘液の比較を行った。結果、エラムシの孵化幼生は体表粘液より鯉粘液に強く反応し、より効率的に着定することを明らかにした。 続いて、トラフグの免疫反応がエラムシ孵化幼生に与える影響について検討した。過去の感染履歴の有無によって、トラフグ鯉粘液に対するエラムシ孵化幼生の反応が異なり、感染履歴のあるトラフグがエラムシに直接作用する物質の精製及び同定を行った。結果、エラムシ孵化幼生にトラフグの免疫グロブリンが直接作用しているという興味深い結果が得られた。 さらに、感染履歴がほとんどないと思われる天然トラフグの鯉粘液を大量に用い、エラムシが着定時に認識する物質の探索・同定を試みた。結果、複数のカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、目的の物質の部分精製を行い、さらにその分子量を推定することに成功した。さらなる精制と物質の同定を現在行っているところである。
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