2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04301
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 俊寛 The University of Tokyo, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 臓器再生 / 多能性幹細胞 / 発生工学 |
Research Abstract |
幹細胞から生体で機能し得る臓器を構築することは移植医療におけるドナー不足を解消する上での究極的なゴールの一つである。特に近年、体細胞を初期化しES細胞とほぼ同等の能力を持つiPS細胞か樹立されたことを受け、これら多能性幹細胞を用いて試験管内で望みの細胞を作ることに大きな期待が寄せられている。しかし、臓器の構築ともなると、三次元的な構造をとる、多岐にわたる機能細胞の複合体である、という特徴からこれを試験管内で再現するには非常に困難を伴うことが予想される。そこで私は多能性幹細胞が持つ大きな特徴の一つである"キメラ形成能=発生過程への寄与"を利用し、生体内での臓器構築を試みてきた。 実際に昨年度までの成果として腎臓を欠損するSall1ノックアウトマウス、膵臓を欠損するPdx1ノックアウトマウスを用いそれぞれの胚にES細胞を注入することで腎臓、膵臓を生体内に構築することに成功していた。そこで更なる治療目的の臓器構築を見据え、iPS細胞から同様の方法を駆使し臓器が構築できるかを検討した。iPS細胞は全身でEGFPを発現するトランスジェニックマウス尻尾より樹立した繊維芽細胞にc-Mycを除いた3因子(Oct3/4,Sox2.Klf4)を遺伝子導入し、より安全性の高いiPS細胞を樹立した。このGFP-iPS細胞を上記のPdx1ノックアウトマウスの胚へ注入したところ、完全にiPS細胞由来の膵臓を持ったマウスを作製することに成功した。それらは形態的な組織の正常性だけでなく、EGFPの発現から膵臓を構成するすべての細胞がiPS細胞由来であることがわかった。またiPS細胞と遺伝的バックグラウンドを同一とするC57BL6マウスで糖尿病モデルを作製し、そこへiPS細胞由来の膵臓から単離した膵島を移植することで治療効果が認められた。以上よりiPS細胞を用いたことで実際の治療モデルの確立へ至った。
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Research Products
(6 results)