2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04301
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 俊寛 The University of Tokyo, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 臓器再生 / 他能性幹細胞 / 発生工学 |
Research Abstract |
ES細胞をはじめとした多能性幹細胞から生体で機能し得る臓器を構築することは移植医療におけるドナー不足を解消する上での究極的なゴールの一つである。そこで私は多能性幹細胞が持つ大きな特徴の一つである"キメラ形成能=発生過程への寄与"を利用し、生体内での臓器構築を試みてきた。 前年度はマウスiPS細胞を用い、膵臓を欠損するPdx1 KOマウス個体内には注入したマウスiPS細胞由来の膵臓を、腎臓を欠損するSa111 KOマウス個体内にはマウスiPS細胞由来の腎臓を構築することに成功し、臓器再生の原理を示すことができた。この胚盤胞補完法の究極的な目標は、この原理を利用し特定の臓器を欠損させた異種の生体内を使つてヒト多能性幹細胞由来の臓器を作製することである。そのためには注入された多能性幹細胞が異種の胚発生に同調・寄与し、その生体内において機能的な組織、臓器を作り出せるかが重要な点となる。そこで昨年度私は異種間におけるキメラ形成能を確認するため、多能性幹細胞を用いたマウス-ラット間の異種間キメラ作製を試みた。マウス多能性幹細胞をラット胚に、逆にラット多能性幹細胞をマウス胚に注入したところ、マウスおよびラットの多能性幹細胞はお互いの胚発生に寄与し、出生後も生存可能な異種間キメラ形成が可能であり、ほぼすべての組織において注入した異種由来の細胞の存在が確認された。さらに以上2つの知見を組み合わせ、私はラットiPS細胞をPdx1 KOマウスの胚盤胞に注入することで異種間胚盤胞補完法を介してラット膵臓を作出しようと試みた。その結果、Pdx1 KOマウスにおいてラットiPS細胞の寄与が認められた場合、一様にEGFP蛍光を示すラットiPS細胞由来の膵臓を作出することに成功した。 以上より、昨年度の成果を総括すると、私は異種の体内を使って胚盤胞補完法により臓器を作出するという原理を証明することに成功した。
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Research Products
(5 results)