2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀ドイツにおける科学知の政治性-結社・実践・都市共同体
Project/Area Number |
07J04323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 文子 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近代史 / ドイツ / 国際情報交換 / 自然科学 |
Research Abstract |
2年次の課題は、論文の草稿をまとめ、その一部を研究成果として発表し始めること、及びワークショップや学会報告を通じて、問題関心を共有する研究者とより濃度の高い議論をすることの2点だった。 年度初めから6月にかけては、国内の図書館で閲覧が可能な二次文献や19世紀当時広く読まれていた定期刊行物を中心とする刊行史料の調査・分析を行った。そこで得られた知見をもとに、6月末に研究会「歴史と人間」において、口頭発表「嫌われ者ゲーテの帰郷-自由ドイツ財団と19世紀中期フランクフルトの都市アイデンティティ」を行った。7月から8月にかけては、この口頭発表を土台とする論文の草稿をまとめることで、19世紀フランクフルトにおける知的活動と都市共同体のあり方の相関関係を考察した。8月後半から9月の夏期は、上記論文を執筆する過程で判明した疑問点を解明するために、特に文化史に関する二次文献の調査を行う一方で、19世紀ドイツ科学史に関する研究書『模倣から「科学大国」へ』の書評も執筆した。そして10月から年度末にかけては、19世紀前半のフランクフルトにおける自然科学結社を中心とする文化事業の分析を通して、科学知の政治性を問う論文、「財・教養・公益心-19世紀前半フランクフルト・アム・マインの経済エリート層による文化事業の後援」の執筆を進めた。これらの論文は来年度初めには執筆を終え、学会誌に投稿する予定である。 なお、ドイツ生物学史生物学理論学会の会誌に投稿し、採択された論文、'Eine wissentschaftliche Einrichtung fur Privatgelehrten-Malakologie an der Senckenbergischen naturforschenden Gesellschaft zu Frankfurt am Main'は校了し、現在印刷中である。
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Research Products
(3 results)