2007 Fiscal Year Annual Research Report
光受容蛋白質の構造変化ダイナミクスの解明と測定法・解析法の開発
Project/Area Number |
07J04347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永徳 丈 Kyoto University, 理学研究科, 特別概究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質科学 / フォトトロピン / 非線形分光 / 光センサー蛋白質 / 青色光受容体 / 過渡回折格子法 / 光反応ダイナミクス / 光物理化学 |
Research Abstract |
青色光受容体フォトトロピンの光反応機構、特に初期反応である、発色団ドメインが光を吸収してからkinaseドメインにその情報を伝えるという光スイッチング機構は不明であった。これを明らかにするには、蛋白質の構造変化を時間分解で捉える手法を用いることが必須であり、このために過渡回折格子法・過渡レンズ法といった、光反応による屈折率変化を検出する方法を用い、またサンプル側としてはLOVドメイン外部にあるLinkerドメインの有無を比較することによりLinkerドメインの構造変化に着目した。この結果、Linkerドメインがついているサンプルでのみ大きい構造変化が検出されたことから、LOVドメインで光が吸収されたのち、その情報がLOVドメイン外部にあるLinkerドメインの構造変化が誘起され、それによってkinaseドメインにその情報が伝えられるという機構が存在することがわかった。また、吸収スペクトルの時間変化を検出する方法では捉えられないような新規中間体が検出された。さらにそれら中間体の過渡的構造に関する知見を得るため、体積変化、エンタルピー変化、熱容量変化、熱膨張係数変化がそれぞれの中間体についてどのように変化していくかを実験的に求めた。その結果、LOVドメイン外部のhelixが、LOV coreから外れ、壊れるというスキームを非常に支持するものとなった。このように、一般的な分光法では求められないような光反応構造変化について、熱力学的な観点からそのメカニズムを明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)