2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04349
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 悠 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | PD-1 / 腫瘍免疫 / APCマウス |
Research Abstract |
本研究においては、抑制性分子PD-1の機能阻害を行うことにより、腫瘍自然発症モデルマウス、APC+/Δ716マウスにおいて腫瘍拒絶効果を検討するとともに、ペプチド免疫と併用することにより腫瘍拒絶の相乗効果を検討することを目的とした。まず、PD-1単独欠損における影響を検討するために、APC+/Δ716マウスとAPC+/Δ716・PD-1欠損マウスを11週齢でポリープ数をカウントしたところ、両者に大きな差は見られなかった。APC+/Δ716マウスに対してPD-1機能阻害抗体を投与した結果も同様であった。また腫瘍内のサイトカインについても大きな変化は見られなかったことから、PD-1欠損単独では抗腫瘍免疫の増強には至らなかった。 そこで我々は、ペプチド療法との併用療法について検討することにした。抗原はポリープのみで発現し、正常腸管細胞では発現しない分子を、DNAマイクロアレイを用いて同定することにした。これにより、Prox1,Robo1,Brachyury,Stra6が候補として挙がったが、Prox1,Robo1,Stra6は腸以外の他臓器で発現が見られたが、残るBrachyuryの発現は、正常組織ではマウス胎児のみであり、他臓器での発現は一切見られなかった。このことから、Brachyuryはポリープ特異的に発現する理想的なガン抗原であることが示された。抗原は、Brachyury-GSTタンパクを大腸菌発現系で大量発現した後に、グルタチオンビーズで精製したものGST特異的酵素でGST結合部位を切断、Brachyuryタンパクのみを精製した。これとアジュバント・CpGとの混合物を作製し、生後6週齢より2週間に1度、合計3回皮下に免疫した後に、11週齢で解剖、腸管内のポリープ数を比較検討した。その結果、Brachyury単独免疫では未治療マウスよりも24%減少と、それほど大きな免疫効果を示さなかったが、PD-1阻害抗体の投与、あるいは、APC+/Δ716・PD-1欠損マウスにおける免疫によって、PD-1機能阻害を併用することで、未治療マウスよりも50%もの腫瘍の減少を認めた。以上の結果により、PD-1機能阻害はBrachyury・CpG療法との併用療法によって、非常に強い抗腫瘍活性を誘導することが示された。
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