2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木戸屋 浩康 Osaka University, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 血管新生 / 癌 / 再生医療 / 発生生物学 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究により、apelinが新生血管の径を制御する血管成熟化因子であることが明らかになっている(H.Kidoya,et al.EMBO J.2008)。そこで、引き続きapelinの臨床応用を目的として、その分子機構の解明、およびその臨床応用への可能性の検討を行った。 1、癌治療への応用について、apelinを用いた腫瘍血管正常化療法の検討を行った。腫瘍血管ではapelinの受容体であるAPJの発現が亢進しており、apelinを作用させることによって、腫瘍中の血管の形態的な成熟化が誘導できた。これらの成熟した血管は、血管透過性や物質浸潤性などの機能の点においても正常化しており、近年提唱されている腫瘍血管の正常化による抗腫瘍効果が得られることが確認できた。さらに、活性化樹状細胞の投与による免疫療法の効果を著しく高めることが示された。今後は、臨床応用を目指して具体的な治療方法の開発を行う予定である。 2、これまでに、血管再生医療への応用を目的として、虚血性疾患に対するapelin遺伝子導入の治療効果について検討を行ってきた。その結果、下肢虚血マウスモデルでは、apelin遺伝子と血管新生因子であるVEGF遺伝子の同時投与により、血管新生および成熟化が効率よく誘導され、血流量の改善と壊死の抑制が確認された。さらに、apelinは血管透過性の亢進を抑制し、これまでの治療法では副作用として問題となっていた浮腫の発生を防ぐことが明らかになった。現在は臨床応用へ向けて、より効果的な投与法の開発についての検討を行っている。
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Research Products
(5 results)