2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04370
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
登坂 亮太 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニホンウナギ / 卵成長 / 人為催熟 / 卵質 / 生殖腺刺激ホルモン / 11-ケトテストステロン / エストラジオール-17β |
Research Abstract |
これまでの研究により、淡水中で養成した雌化ニホンウナギの卵巣は秋から冬にかけて発達した後、春にかけて退行すること、また、卵巣の変化に伴って生殖腺刺激ホルモン(GTH)の発現、11-ケトテストステロンの血中量が変化することが解かっている。雌化養成ウナギの人為催熟を様々な季節に行った結果、成熟誘起率と孵化率は養成2年目の9月から12月に高く、翌年の4月には低下することが明らかになった。雌化養成ウナギの卵巣の季節変化を詳細に調べた結果、卵黄球の蓄積は養成2年目の9月に開始し、翌年の1月にかけて卵黄形成が進行した。その後、1月から3月にかけて先頭卵群の卵母細胞が退行する結果、4月には卵巣内に卵黄形成期の卵母細胞が占める割合が減少した。さらに、養成3年目の6月には新たに産生、成長したとみられる染色仁期から油球期初期の卵母細胞が多く出現し、卵巣内に次群卵母細胞が占める割合が増加した個体がみられた。また、卵巣の濾胞刺激ホルモン受容体のmRNA量は養成2年目の11月に最も高く、その後、翌年の1月以降に減少することが解かった。これら卵巣内の卵母細胞ステージの組成やGTH受容体の発現の季節変化が外因性の生殖腺刺激ホルモンに対する雌化養成ウナギの卵巣の反応性に影響し、成熟誘起率と卵質が変動する原因になっていることが示唆された。また、養成1年目に雌化を目的として行っているエストラジオール-17β(E_2)投与の期間が異なる群を設けた結果、卵巣ステージに差がみられる傾向があったことから、稚魚期のE_2投与が雌化養成ウナギの初期卵成長および人為催熟開始時の卵巣ステージに影響する可能性が示唆された。本研究の成果は、ニホンウナギの最適な親魚養成法の開発に貢献し、人工種苗生産技術の改善に役立つことが期待される。
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Research Products
(1 results)