2007 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエを用いた味覚二次神経の同定と一次・二次中枢の投射地図の解析
Project/Area Number |
07J04372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 隆明 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 味覚 / 神経回路 / 一次中枢 / 回路構造 / GFP / キイロショウジョウバエ |
Research Abstract |
ハエの味覚神経のうち主なものは、口の先端の唇弁と呼ばれる部位に存在し、直接、脳の一次味覚中枢まで達している。前年度までに、この神経を7通りのパターンで特異的に可視化するようなキイロショウジョウバエが得られていた。 本年度は、これらのハエでオワンクラゲ由来緑色蛍光蛋白質(GFP)を用いて神経を可視化し、レーザー共焦点顕微鏡を使ってその脳を観察し、脳内に伸びてきた神経の末端の構造を3次元立体構造まで含めて同定した。そして、これら結果に基づき、味覚神経の末端がどのような区画に分かれているか、つまり脳内一次味覚中枢の地図、を明らかにすることができた。 前年度までの研究で、7通りのパターンのうち1つは、口に存在する味覚に関連した触覚の神経に対応することが示唆されていたが、この神経の末端の分布は、他のパターンで可視化される味覚神経の分布領域に含まれていた。また、下唇神経からの神経と咽頭神経からの神経の末端は、一部が互いに重なり合っていた。これらのことから、味覚情報と触覚情報、あるいは、口の先端で感じた情報と食道の途中で感じた情報といった、異なる種類の情報が脳内の同じ場所へ運ばれ、そこで統合されている可能性を示唆できた。 また、7パターンの神経と既知の味覚神経とを、サンゴ由来赤色蛍光蛋白質とGFPを用いて同時に可視化し、比較することで、7パターンの中に従来未知であった神経に対応するものがあったり、既知の味覚神経のグループ内にさらに細かなクラス分けが存在したりすることを示した。すなわち、未知の種類の味覚神経を新たに発見した。 上記の結果に基づき、今後、異なる種類の味覚情報がどのように脳内で処理されているのか、また、新たに見つかった味覚神経がどのような味を感知するのか、といった疑問を解明していくことができる。
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Research Products
(5 results)