2007 Fiscal Year Annual Research Report
GPR54およびMMPを同時標的とする新規癌転移抑制剤の創製研究
Project/Area Number |
07J04378
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
富田 健嗣 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | GPR54 / MMP / 安定性 / ジペプチドイソスター / フルオロベンゾイル |
Research Abstract |
以前の研究において見出した強力なGPR54アゴニストTOM80は、Gly-Leu配列においてマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)による加水分解を受け、不活性化されることが確認されている。GPR54アゴニスト活性を維持したまま、生体内安定性の向上、さらには腫瘍の遠隔転移に寄与しているMMPの阻害活性を付与することを目的とし、種々のGly-Leuジペプチド等価体合成し、TOM80に導入した。具体的にはGly-Leu型Eアルケンジペプチドイソスター(EADI)を共通の合成中間体とし、還元、異性化あるいはエポキシ化に続く塩基処理によりそれぞれエチレン型、α,β-不飽和型、アリルアルコール型のイソスターを合成した。それらの保護基を適切に変換した後、ペプチド固相合成法に従い、イソスター骨格をペンタペプチド誘導体に導入した。さらに、アリルアルコール含有プソイドペンタペプチドを水素化反応に付すことでヒドロキシエチレン型アミド等価体含有ペプチドを合成した。合成した各種誘導体のGPR54アゴニスト活性を評価したところ、EADI含有誘導体およびヒドロキシエチレン型イソスター含有誘導体においてTOM80と同等の生物活性が確認された。一方ですべての誘導体においてMMP阻害活性は認められなかった。また、これらの誘導体をMMPで処理したところ、TOM80はGly-Leuペプチド結合における分解が徐々に進行したのに対し、プソイドペンタペプチド誘導体は極めて安定であった。さらに、マウスの血清中での安定性を評価した結果、プソイドペンタペプチド誘導体はTOM80に比べて4倍以上長い半減期を示した。本年度の研究より見出された誘導体は、TOM80に比べて生体内で安定であり、優れたバイオアベイラビリティーを示すGPR54アゴニストであると考えられる。
|
Research Products
(11 results)