2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格と生体膜の可視化細胞系を用いた高等植物細胞の分裂機構に関する研究
Project/Area Number |
07J04392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桧垣 匠 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞分裂 / 植物細胞 / 細胞骨格 / アクチン繊維 / 生体膜 / 細胞板 / 顕微鏡画像 / 画像解析 |
Research Abstract |
高等植物の細胞質分裂は、二つの娘核の間に形成される細胞板が遠心的に発達し、親細胞の細胞壁と癒合して完了します。この細胞板は、ゴルジ体に由来する小胞が微小管に沿って運ばれて蓄積し、形成されると考えられています。ところが、近年になって細胞膜に由来するエンドソームも細胞板の膜材料として輸送されること可能性が指摘されました。このような状況を踏まえ、細胞板形成におけるアクチン繊維とエンドソーム経路の寄与の定量的な評価に取り組みました。本年度は、まず、アクチン繊維と細胞板のタイムラプスイメージング実験系の確立を行いました。その結果、アクチン繊維プローブであるGFP-ABD2を発現させたタバコ培養細胞を蛍光色素FM4-64のパルスラベルし、これを高速撮像が可能なスピニングディスク式共焦点顕微鏡に供することで、アクチン繊維、細胞板、エンドソームを同時に高い時間空間分解能で可視化観察する実験系を確立しました。この実験系により、アクチン繊維は細胞板の拡大に伴って娘核周囲から徐々に細胞板へと集積していくことを明らかにしました。また、アクチン重合阻害剤を用いてアクチン繊維破壊の影響を調べたところ、特に細胞質分裂後期において細胞板の拡大速度が低下するように観察されました。そこで、タイムラプス像から細胞板の直径を半自動的に計測し、モデル式への回帰分析を行う画像解析プログラムを独自に開発し、詳細な解析を進めた結果、アクチン繊維破壊によって細胞板形成初期には細胞板への膜輸送がおよそ10%減少し、細胞質分裂の終期にはその減少率がおよそ25%に及ぶ、といったアクチン繊維の細胞板への寄与の時間変化を推定することができました。また、アクチン繊維破壊によって細胞板近傍のエンドソームの運動性が著しく低下していたことから、アクチン繊維はエンドソームの運動制御を介して、細胞板の拡大に寄与する可能性が考えられました。
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Research Products
(6 results)