2007 Fiscal Year Annual Research Report
水供給システムにおける病原性ウイルスの挙動の解明および感染リスクの制御
Project/Area Number |
07J04395
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
原本 英司 National Institute of Public Health, 水道工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ノロウイルス / サポウイルス / 健康関連微生物 / 水道水源管理 / 大腸菌ファージ / ソース・トラッキング |
Research Abstract |
腸管系ウイルスは,感染者の糞便中に高濃度に排出される。そのため,下水処理場の下流に浄水場を有する地域では,水道原水に腸管系ウイルスが含まれる可能性がある。本年度は,水道水源となる河川における腸管系ウイルスの存在状況を明らかにするため,首都圏住民の主要な水源である利根川水系を対象とした実態調査を実施した。調査地点は,利根川中流域で4地点および支流の小山川で2地点を選定した。 河川水2Lを濃縮してリアルタイムPCRに供した結果,89%(25/28)の試料から検査した腸管系ウイルスのいずれか1種類以上が検出された。ノロウイルスの陽性率は,ヒトに感染する主要な遺伝子群であるGIとGIIが各57%,ウシに感染する遺伝子群であるGIIIが0%,新規の遺伝子群であるGIVが7%であった。サポウイルスは,71%の試料から検出された。採水地点別では,いずれの腸管系ウイルスも小山川下流の高橋地点における平均濃度が最も高かった。高橋地点の上流に下水処理場が位置していることから,腸管系ウイルスの排出源として下水処理場の放流水の影響が大きいことが推察された。腸管系ウイルスと同時に測定した指標微生物(大腸菌群,大腸菌およびF特異大腸菌ファージ)についても同様の傾向が見られた。 シャーレ上に形成したF特異大腸菌ファージのプラックを単離して群別判定を行った結果,140試料中78試料(56%)がF特異RNA大腸菌ファージであった。その内訳は,ヒト由来の群が39試料,ヒト以外の動物由来の群が39試料であった。ファージが高濃度で検出された高橋地点では,6月には動物由来群のみが検出されたが,その他の月にはヒト由来群が検出され,動物由来群は検出されなかった。このことから,ヒトに比べ,動物による糞便汚染の寄与率には大きな変動が存在することが示唆された。
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Research Products
(1 results)