2008 Fiscal Year Annual Research Report
水供給システムにおける病原性ウイルスの挙動の解明および感染リスクの制御
Project/Area Number |
07J04395
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
原本 英司 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教
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Keywords | 健康関連微生物 / ソース・トラッキング / 水道水源管理 / 水系感染症 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,水道水源となる河川におけるウイルスの存在状況を明らかにするため,首都圏住民の主要な水源である利根川水系を対象とした実態調査を実施した。調査地点は,利根川本川で2地点,1次支川の小山川で2地点,小山川の支川(2次支川)で3地点を選定し,さらに,この2次支川に流入する下水放流水を採収した。 河川水2Lを濃縮してリアルタイムPCRに供した結果,86%の試料から検査ウイルスのいずれか1種類以上が検出された。ノロウイルスの陽性率は,ヒトに感染する主要な遺伝子群であるGIが71%およびGIIが36%,ウシに感染する遺伝子群であるGIIIが0%,新規の遺伝子群であるGIVが7%であった。サポウイルスは50%の試料から検出された。また,下水放流水2Lからもノロウイルスおよびサポウイルスが検出された。このことより,下水放流水の流入の影響を受けて河川水中にウイルスが存在していることが示唆された。しかしながら,下水処理場の上流に位置する2次支川の2地点からも腸管系ウイルスが検出されており,下水放流水以外にもウイルスの排出源が存在していると考えられた。 指標微生物であるF特異大腸菌ファージについて,シャーレ上に形成したプラックを単離してリアルタイムPCRに供し,群別判定を行った。その結果,単離したプラック119試料のうち,F特異RNA大腸菌ファージは53試料から検出された。その内訳は,ヒト由来の群が49試料,ヒト以外の動物由来の群が4試料であり,ヒト由来の糞便汚染を強く受けていることが示唆された。ただし,66試料はいずれの群にも分類されておらず,本研究で採用したプライマーでは増幅されないものが多く存在していると考えられた。
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Research Products
(1 results)