2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 真介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超冷中性子 |
Research Abstract |
本研究は超冷中性子が重力場中で量子状態に束縛される様子を観測することを目標にしている。水平に広がる床の上に存在する超冷中性子は床のポテンシャルと重力ポテンシャルの間で束縛され、その高さ方向のエネルギーは量子化される。そのため、超冷中性子の高さ方向の存在確率分布は濃淡を持つ。この濃淡のスケールは6μm程度である。 目標達成のためには超冷中性子を観測可能な束縛状態に落ち着かせるための超冷中性子ガイド、分布を拡大するための拡大機構、中性子を検出するための検出器の開発が必須である。地磁気の影響を抑えるためこれらの測定器は防磁シールドの内部に入れる必要がある。また床の振動を抑えるため防振台の上に要素を置く必要がある。このうち超冷中性子検出器についてはその制作・性能評価についてNIM Aに論文を投稿し、発表した。 21年度はこれらの要素を組み合わせフランスのラウエ・ランジュバン研究所において超冷中性子の量子状態観測実験を行った。実験は50日間に渡り行われたが、上記の測定器はすべて安定して動作した。取得したデータを解析することにより超冷中性子が重力場中で量子状態にあることを確かめた。また、本研究で用いている系は物質床のごく近傍を通る中性子を観測しているため、中性子と物質の間に働く未知短距離力が存在している場合、超冷中性子の高さ方向の存在確率分布の形が変わり、力を検出することができる。測定データを用いて未知短距離力を探索してみたところ、このような力を見つけることができなかつた。その結果により未知短距離力を予測する理論に制限を加えることに成功した。
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Research Products
(4 results)