2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04404
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 真介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超冷中性子 |
Research Abstract |
本研究は超冷中性子が重力場中で量子状態に束縛される様子を明瞭に観測することを目標にしている。目標達成のためには超冷中性子を観測可能な束縛状態に落ち着かせるためのスリット、分布を拡大するための光学系、中性子を検出するための検出器の開発が必須である。 スリットは下部の超冷中性子反射鏡、上部の中性子吸収体成で構成される。下部の反射鏡のポテンシャルと重力のポテンシャルで束縛された中性子は高さ方向にエネルギー固有値を持つ量子状態に束縛される。スリットを通過する超冷中性子は様々なエネルギー固有値を持つものの足し合せとして観測されるが、上部に吸収体を配置することにより高さ方向に大きなエネルギーをもつ超冷中性子は吸収される。スリットを通過する超冷中性子のエネルギー固有値を限定することにより、固有関数の足し合せである量子化状態の観測を可能になる。20年度はこの中性子吸収体を作成し、輸送系を作成した。 光学系は19年度までに基本設計を終えていたが、20年度に設計を改良し、実機を作成した。 検出器は中性子コンバータを表面に形成したCCDである。20年度はこの検出器で超冷中性子の検出に初めて成功した。超冷中性子を安定して供給する施設が日本国内にはないため、フランスにあるInstitute of Laue-Langevinにおいてこの試験は行われた。また、19年度に行われた検出器の位置分解能評価における不定性を改良した新たな評価を行い、検出器の分解能を不定性なく求めた。 地磁気による影響を避けるために防磁シールドを作成し、床の振動を抑えるために測定器を防振台の上に配置した。空気による散乱・吸収の影響を受けないよう測定器は作成した真空容器の中に置かれる。 20年度までに測定器を完成することができ、21年度に予定される測定の準備が整った。
|
Research Products
(3 results)