2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合差別の実態と社会運動の関係-京都における「部落」と「在日」との関係性を通して
Project/Area Number |
07J04410
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山本 崇記 Ritsumeikan University, 大学院・先端総合学術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 差別 / 社会運動 / 被差別部落 / 在日朝鮮人 / マイノリティ / 京都市 |
Research Abstract |
本研究の目的は、差別を克服する動きが新たな差別を生み、多様な差別が複合的・重層的に絡み合うその被差別者の間のあり方を、戦後京都の都市下層における「部落」と「在日」(朝鮮人)との関係性に焦点を当て、生活と労働の場における互いの接触と、そこからの運動を通じて持続していた関係性のあり方を明らかにすることにある。本研究の意義は、多角的な資料を通じて歴史社会学的視点からその課題にアプローチし、個人と組織とその一様ではない関係性によって担われてきた社会運動史の中にその研究成果を再定位することで、反差別の諸経験の意味を捉え返し、マイノリティ・差別研究に具体性を与えることにある。まず、1960年代の京都・都市下層における「部落」と「在日」との関係性について、福祉運動と革新行政の誕生によって結実した「在日」集住地区へのスラム対策と同和地区への行政施策との比較検討を通じて、その違いを明らかにする作業を進め、1970年代に地域の「部落」青年と「在日」青年を中心に、1980年代以降につながるまちづくりを進める住民運動の芽が形成されてくる過程を、上記の検討と合わせて調査・分析した。その成果を福祉社会学会にて報告し、『社会文化研究』に論文を投稿中である。次に、被差別のなかにある人びとが反差別の社会運動を志向するか、もしくは、義理と人情を重んじるヤクザ・任侠の世界を志向するか、そのマイノリティのおかれた両義的な磁場について検討し、その成果を解放社会学会にて報告した。その成果に関係者への聞き取り調査を加えて、『解放社会学研究』に論文として投稿中である。さらに、差別を論じるための理論的な枠組みについて、差別がどのように論じられてきたのかを歴史社会学的に検討し、現代の差別論が持つ課題を検討し、その成果を日本社会学会にて報告し、『コア・エシックス』(所属研究科紀要)に論文として公表した。
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Research Products
(6 results)