2009 Fiscal Year Annual Research Report
IgM、IgAに対するFc受容体(Fcα/μ受容体)のシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
07J04426
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
張 愉紀子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Fcα / μ受容体 / IgM / IgA / 抑制性シグナル / 二量体 |
Research Abstract |
Fcα/μ受容体(Fcα/μR)はIgMおよびIgAに対するFc受容体であり、ヒト、マウスにおけるIgM Fc受容体として現在までに同定されている唯一の分子である。Fcα/μRは濾胞状樹状細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージなどの免疫細胞上に発現しているが、Fcα/μR遺伝子欠損マウスではT細胞非依存性抗原に対する液性免疫応答が亢進することから、Fcα/μRが液性免疫応答を負に制御している可能性が示唆されている。本研究では免疫細胞上に発現するFca/mRが抑制性のシグナル伝達分子であるという仮説を元に、そのシグナル伝達機構の詳細を明らかにし、免疫制御機構への関与を明らかにすることを目的とする。 本年度は、in vitroの系を用いたFcα/μのシグナル伝達機構の解析を行うためBCR発現B細胞株、A20へFcα/μR全長(Wt)または細胞内領域を欠失した遺伝子(Δcyt)を導入したトランスフェクタントを作製し、BCR架橋による細胞内カルシウムイオン流入に対するBCRとFcα/μRの共架橋の影響を検討した。Fcα/μR-WtトランスフェクタントではBCRとFcα/μRの共架橋によって細胞内カルシウムイオン流入が抑制されたのに対して、Fcα/μR-Δcytトランスフェクタントではこの抑制の解除が観察された。よって、Fcα/μRは抑制性シグナルを伝達し、その伝達には細胞内領域が重要であることが示唆された。 また、この二量体形成について解析を行ったところ、二量体形成にはFcα/μRの細胞内領域が必須であることが明らかとなった。そこで、Mass spectorometry法を用いて会合分子の検索を行った結果、Fcα/μRはメルカプトエタノールにより還元されない極めて特殊なホモニ量体を形成していることが示唆された。今後は、抑制性シグナルとFcα/FRの二量体形成との関係について検討を行い、Fcα/μRのシグナル伝達機構の詳細を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)