2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04446
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
栗田 尚樹 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Fcα / μ受容体 / 腸管 / パイエル板 / 濾胞樹状細胞 / IgA / IgM |
Research Abstract |
IgAは生体内で最も多く産生される免疫グロブリンであり,その大半は腸管などの粘膜の免疫機構に主要な役割を担っている.我々はIgAおよびIgMに対するFc受容体であるFcα/μ受容体(Fcα/μR)による,粘膜面のIgA産生の調節機構を明らかにする目的で以下の実験を行った.定量PCRを用いた解析で,マウスの腸管は脾臓に次いで多量のFcα/μRを発現していることが分かった.また特異抗体を用いた組織染色では腸管のパイエル板の胚中心領域が強く染色され,濾胞樹状細胞(follicular dendritic cell,FDC)がFcα/μRを強発現することを見出した.IgA産生の導入組織であるパイエル板におけるFcα/μRの機能を解析するため,当研究室で作製したFcα/μRノックアウトマウス(KOマウス)と野生型マウス(WTマウス)間でIgAを定量したところ,KOマウスにおいて血清中に含まれるIgA量が多いことが分かった.さらにKOマウスでは,T細胞依存性抗原である卵白アルブミンまたはT細胞非依存性抗原であるNP-LPSの経口投与に対して,血清中の抗原特異的IgAの抗体価が亢進していた.またFACSを用いた解析では,KOマウスの脾臓,腸間膜リンパ節,パイエル板でIgA陽性細胞が増加していたことから,これらの臓器において血清中へのIgA産生が亢進していることが示唆された.以上の結果より,パエル板のFcα/μRは血清中のIgA産生を負に制御していることが示唆された.さらに骨髄キメラマウスを用いた解析において,血球細胞(B細胞)上に発現するFcα/μRと非血球細胞(FDC)上に発現するFcα/μRのうち,後者がより血清IgA制御に寄与していることを見出した.
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Research Products
(2 results)