2008 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解光電子分光法を用いた層状遷移金属酸化物における酸素同位体効果の研究
Project/Area Number |
07J04451
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩澤 英明 Hiroshima University, 放射光科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高温超伝導 / 角度分解光電子分光 / 酸素同位体効果 / キンク構造 / フォノン |
Research Abstract |
本年度は、銅系高温超伝導体における酸素同位体置換効果(^<16>O→^<18>O)の振る舞いを明らかにすることを目的として、低エネルギー励起光を用いた角度分解光電子分光法(ARPES)による研究を行った。その結果、以下に示すように、(1)Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>(Bi2212)における酸素同位体効果のドープ量依存性、(2)Bi_2Sr_<1.6>Ln_<0.4>CuO_<6+δ>(Bi2201)における酸素同位体効果に関して知見を得ることが出来た。 (1)Bi2212における酸素同位体効果のドープ量依存性 前年度の研究から、最適ドープBi2212においては、電子系とボゾンとの結合によると考えられているバンドの折れ曲がり(キンク)に、数meVほどの微小な酸素同位体効果が存在することがわかっている。この酸素同位体効果がドープ量に対してどのように振る舞うかを検証するため、過剰ドープ側の試料に対して、低エネルギー励起ARPESによる検証を行った。その結果、酸素同位体効果はドープ量とともに減少しているような結果が得られた。しかし、この結果は電子系と結合するフォノンモードを単一として考えた際に得られたものであり、今後は複数のフォノンモードが電子系と結合すること可能性を考えて、酸素同位体効果のドープ量依存性の起源に関して考察する必要がある。 (2)Bi2201における酸素同位体効果の検証 単層系Bi2201において、Lnをイオン半径の異なるLa,Nd,Eu,Gdにすることで、面外の乱れを制御することが出来る。そこで、これらの面外の乱れの効果と酸素同位体効果の関係に関して検証を行った。その結果、面外の乱れと酸素同位体効果には相関があることが判明した。このことは、酸素同位体効果と擬ギャップにおいて相関がある可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)