2007 Fiscal Year Annual Research Report
河川流域を通じた窒素フローの定量化と窒素収支モデルの作成
Project/Area Number |
07J04458
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小倉 亜紗美 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒素動態 / periphyton / 河川 / NH_4^+-N / sorption / 下水処理場 / 硝化 / 全窒素 |
Research Abstract |
本年度は、流域レベルでの窒素の動態のモデル化のために必要な、河道内での窒素の自然浄化機能を明らかにすることを中心に以下のように研究を進めた。 1.【野外測定】下水処理場の下流で河川流量と窒素濃度を測定し窒素動態を調べた。 2.【室内実験】一定時間内でのperiphytonによる窒素の吸収・吸着・転化量を調べた。 3.【推定】1.2.のデータをもとに河川の窒素動態にperiphytonが与える影響を推定した。 下水処理場の直下流では河川水中の全窒素(T-N)のうちアンモニウム態窒素(NH_4^+-N)が7割を占めていたが、そこから5km流下するとNH_4^+-Nは激減し3割程度になっていた。しかし、硝酸・亜硝酸態窒素(NO_2^-+NO_3^-N)はほとんど変化せず、T-NもNH_4^+-Nと同様に激減していた。次に、室内において野外で採取したperiphyton(微生物群集)の付着した石と河川水を、流速を再現したアクリルチャンバーに入れ、periphytonによる窒素の吸収・吸着・転化量を調べ、これらをもとに河川の窒素動態にperiphytonが与える影響を推定したところ、野外で減少したT-Nの6〜18%、NH_4^+-Nの23〜72%と推定された。このことから、下水処理場の下流においてperiphytonは河川の窒素動態に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。この内容については学会(応用生態工学会第11回大会)において発表し、論文にまとめ現在投稿中である。これらのデータをふまえ最終年度となる来年度は、黒瀬川流域の人口・土地利用を含む人為起源の負荷と自然由来の負荷、そして自然浄化を含めた流域レベルでの窒素の動態のモデルを完成させたい。
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Research Products
(2 results)