2007 Fiscal Year Annual Research Report
A型インフルエンザウイルスの病原性獲得メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J04479
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽田 公輔 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | H9 influenza virus / pathogenicity / HA cleavage site |
Research Abstract |
低病原性ウイルスA/chicken/Yokohama/aq55/01(H9N2)、A/duck/Hokkaido/Vac-1/04(H5N1)、およびA/duck/Hokkaido/Vac-2/04(H7N7)のHA開裂部位にreverse genetics法、およびsite-directed-mutagenesis法を用いて、塩基性アミノ酸であるリジンまたはアルギニンを置換または挿入した、野外の高病原性鳥インフルエンザウイルスの配列を模倣した変異ウイルスの作出を試みた。また、変異ウイルスのMDCK細胞における増殖性とニワトリに対する病原性をそれぞれプラーク法と静脈内接種試験により評価した。結果、塩基性アミノ酸をHA開裂部位に挿入したH9ウイルスを除き、全ての変異ウイルスが回収された。作出した各変異ウイルスはMDCK細胞における増殖にトリプシンを必要とし、ニワトリに対して低病原性であったが、HA開裂部位のアミノ酸を塩基性アミノ酸に置換したVac-1sub(H5N1)のみトリプシン非存在下においてもMDCK細胞にてプラークを形成した。HA開裂部位に塩基性アミノ酸を挿入したH9ウイルスが得られなかったことから、本変異はH5およびH7ウイルスにのみ許容されるものであると考えられる。塩基性アミノ酸を挿入したH5およびH7ウイルスがニワトリに対して病原性を獲得しなかったことから、本変異単独ではウイルスは高病原性化に至らないことが分かった。Vac-1sub(H5N1)がMDCK細胞における増殖にトリプシンを必要としないことは、塩基性アミノ酸の挿入がウイルスの高病原性化に必要十分の条件ではないことを示すものである。
|
Research Products
(3 results)