2008 Fiscal Year Annual Research Report
A型インフルエンザウイルスの病原性獲得メカニズムの解析
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07J04479
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽田 公輔 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | H9 influenza virus / pathogenicity / HA cleavage site |
Research Abstract |
1.野生水禽から分離したH5インフルエンザウイルスの遺伝子および抗原性解析とワクチン株への応用 当研究室にて1996年〜2007年に野生水禽の糞便から分離したH5インフルエンザウイルスの遺伝子と抗原性の解析、およびサーベイランスにて分離した株から作出した非病原性H5N1遺伝子再集合ウイルスを原株とする不活化ワクチンのマウスモデルにおける評価に関する内容をArchives of Virology誌に発表した。 2.H9インフルエンザウイルスが高病原性株に変異する可能性の検討 低病原性ウイルスCk/Yokohama/aq55/01(H9N2)、Dk/Hok/Vac-1/04(H5N1)、およびDk/Hok/Vac-2/04(H7N7)のHA開裂部位に塩基性アミノ酸であるリジンまたはアルギニンを置換または挿入し、野外の高病原性鳥インフルエンザウイルスの配列を模倣した変異ウイルスを作出した。これらの株はただ変異を導入するだけでは病原性を獲得しないことを昨年度までに報告した。これらのウイルスをヒヨコの気嚢内にて継代したところ、HA亜型がH5の場合、塩基性アミノ酸を置換/挿入したいずれの場合も、2代で高病原性株に変異した。病原性を獲得したウイルスには数箇所のアミノ酸が変異しており、性状の変化に関与しているものと考えられる。 HA亜型がH9の場合、10代継代したウイルスを4週齢ニワトリの静脈内に接種したところ、8羽中6羽のニワトリが死亡した。これは一般的な高病原性鳥インフルエンザウイルスの病原性に匹敵する。しかしながら、実際にはH9ウイルスはアジア地域の家禽内で蔓延しているが、病原性を獲得したウイルスは見つかっていない。これらの現象の相違は、HA開裂部位に人工的に塩基性アミノ酸を導入したか否かによるものと考えられ、自然界ではこのような変異導入は起こらない可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)