2009 Fiscal Year Annual Research Report
A型インフルエンザウイルスの病原性獲得メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J04479
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽田 公輔 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | H9 influenza virus / pathogenicity / HA cleavage site |
Research Abstract |
1.野生水禽から分離したH5インフルエンザウイルスの遺伝子および抗原性解析とワクチン株への応用 継続的な課題として、当研究室にて2008年および2009年に野生水禽の糞便から分離したH5インフルエンザウイルスの遺伝子と抗原性の解析を行った。 近年家禽および野生水禽を死に至らしめているH5N1ウイルスのHAの抗原性は年々変わってきていること が知られているが、本解析により野生水禽で元来維持されている非病原性H5ウイルスの抗原性は現在まで極めて高度に保存されていることが明らかとなった。 また、すでに確立した家禽用H5ワクチン株であるDk/Hokkaido/Vac-1/2004(H5N1)は最近年に分離されている高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスに対しても、引き続き高い中和活性を示し、依然としてワクチン株が有用であることが分かった。 2.H9インフルエンザウイルスが高病原性株に変異する可能性の検討 低病原性ウイルスCk/Yokohama/aq55/2001(H9N2)のHA開裂部位に塩基性アミノ酸であるリジンまたはアルギニンを置換または挿入し、野外の高病原性鳥インフルエンザウイルスの配列を模倣した変異ウイルスを作出した。これらの株はただ変異を導入するだけでは病原性を獲得しないが、ヒヨコの気嚢内で10代継代するとウイルスはニワトリに対して静脈内接種病原性を獲得することを昨年度までに示した。本ウイルスは実際の野外でのウイルスの病原性を反映すると考えられる鼻腔内接種病原性を獲得していなかった。 一方で、同様の試験をH5ウイルスを用いて行った場合はウイルスは鼻腔内接種病原性を獲得した。 H5ウイルスは特にニワトリの脳や血液で増殖しており、血管内皮細胞で増殖できることが、ニワトリに対する鼻腔内接種病原性の獲得に必要であると考えられた。 ヒヨコの気嚢内でウイルスを継代することにより、いくつかのアミノ酸変異が同定されており、今後はこれらアミノ酸変異がウイルスの性状にいかなる変化を与えたかを検討し、野外の高病原性ウイルスのHA亜型がH5およびH7に限られている理由の解明を目指していく予定である。
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Research Products
(3 results)