2007 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論におけるモジュライ場の現象論的、宇宙論的側面の研究
Project/Area Number |
07J04494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
檜垣 徹太郎 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦理論的現象論 / 弦理論的宇宙論 / モジュライの安定化 / 超対称性の破れ |
Research Abstract |
超弦理論は標準模型を超えて我々の世界を統一的に記述できる理論であるが問題がある。それは摂動論的に真空が無数に縮退し、現実的な弦模型は得られていない事である。これは非摂動論的な効果によって真空の縮退が解けると思われる。これら無数の真空の連続的自由度はモジュライの期待値の自由度に対応し、その期待値自身は観測可能な結合定数と関係するので、モジュライのダイナミクスは重要である。そこで私は非摂動効果を用いたモジュライの期待値の決定機構に注目して課題に取り組んでいる。今年度は昨年度に発表した論文"Moduli stabilization, F-term uplifting and soft SUSY breaking terms"(Physical Review D,75:025019,2007年)を元に、模型の拡張や応用を試みた。1つ目の論文ではインスタントン効果でモジュライの期待値を決定し、"主となる"超対称性の破れの場(オラファテ場)をある程度一般化した。具体的にはスーパーポテンシャル中のオラファテ場の1次の項が、インスタントン効果を通じ軽いモジュライに依存している場合と、そうでない場合を両方考え、オラファテ場が引き起こすモジュライによる超対称性の破れの効果を一般的に計算した。最近このようなインスタントン効果が弦理論的に計算されているので、この計算は重要である。2つ目の論文では、モジュライの期待値を1つ目の論文と同様に決定しつつ、オラファテ場を我々のセクターと離す事ができるか、簡単のために時空がワープした5次元模型で具体的に計算した。これを考える理由は、離れていればスカラーフェルミオンの質量が1 TeV程度に軽くなるし、近接していればグラヴィティーノの質量程度(=100 TeV)に重くなり、実験に大きく影響するからである。また5次元模型的観点から見たこの論文の特徴的な点は、場の配位が余剰次元方向に幅を持って局在化した(ゼロ幅を含め)一般的な場合を考えている点である。物質場とオラファテ場が離れて局在化していれば、物質場の質量が軽くなる事がわかった。
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Research Products
(5 results)