2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表層分子ディスプレイ法による細胞への新機能賦与とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J04503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 健 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酵母 / 酸耐性 / ペプチド / 細胞表層分子ディスプレイ法 / グルコース / プロトンポンプ / pH |
Research Abstract |
細胞表層分子ディスプレイ法を用いて酵母細胞表層にディスプレイすることによって酵母に酸耐性を賦与する新規ペプチド(TLRVSFLSLRAYLLLRSVSQQLYLD)の酸耐性賦与メカニズムの解明を目指して研究を行った。まず、昨年度に引き続き、様々な細胞表層タンパク質遺伝子の破壊株を用いて、ペプチドと相互作用する可能性のあるタンパク質の探索を行ったが、相互作用するタンパク質を見つけることはできなかった。そこで、ペプチドをディスプレイした酵母は細胞内へグルコースを効率的に取り込むことを昨年度に明らかにしていたので、グルコースの取り込みと酸耐性の関係を明らかにするために、低グルコース培地での生育を調べ、ペプチドをディスプレイした酵母は低グルコース培地でコントロール株よりも良い生育を示すことを確認した。また、培地のpHを通常より高くしたところ、ペプチドをディスプレイすることで、コントロール株よりも生育が悪くなり、ペプチドをディスプレイすることで、至適pHが酸性側にシフトすることが分かった。そこで、グルコースによる影響を軽減するためにグルコース濃度を低くしたところ、ペプチドディスプレイによる生育の悪化が改善され、グルコース取り込み能の強化がペプチドディスプレイによる酸耐性化に関与していることが分かった。このことから、ディスプレイしたペプチドによる酸耐性獲得機構と、よく知られている酵母での細胞内グルコース濃度の上昇によりキナーゼが細胞膜プロトンポンプを活性化し、プロトンの排出を活性化する機構との関連を推定することができた。そして、酵母に酸耐性を賦与するための新たな標的を見出すことができた。
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[Journal Article]2008
Author(s)
松井健, 黒田浩一
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Journal Title
微生物によるものづくり-化学法に代わるホワイトバイオテクノロジーの全て-(分担執筆)有機溶媒耐性を賦与した酵母を用いたエステル合成 第5章275-280(シーエムシー出版)
Pages: 275-280
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