2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロクエーサーの多波長観測による宇宙ジェット生成機構の解明
Project/Area Number |
07J04524
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 香織 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高密度天体 / ジェット / ブラックホール / 多波長観測 |
Research Abstract |
2008年10月にすばるFOCAS検出器を用いてマイクロクエーサーSS 433の可視光分光観測を行った。前年度には、そのデータとGeminiのアーカイブデータを用いて「SS 433の主星はブラックホールであると強く示唆される」という結果を得た。今年度、これを2回の国際学会(5月:Joint Subaru/Gemini Science Conference、7月:The Energetic Cosmos : from Suzaku to Astro-H)で発表した。また、この結果に共同研究者が行った追加解析を加え論文にした。論文は2010年2月にThe Astrophyscal Journalに掲載された。また本論文の結果を日本天文学会2010年春季年会にてポスター発表した。 2006年に取得したすざく衛星によるSS 433の観測データのうち、HXD/PIN検出器のデータの再解析を行った。これにより初めてSS 433の5.0-40 keV広帯域X線スペクトルが得られた。X線ジェットの温度を求めるには2つの方法がある。ひとつはジェット由来のFe 25 Ka/Fe 26 Ka輝線比を利用する方法、もう一つはX線スペクトルの連続成分から求める方法である。二つの方法でX線ジェットの温度を測定したところ、蝕内のデータでは両者がほぼ一致したのに対し、蝕外では連続成分がはっきりと高い温度を示した。これはX線スペクトル中にジェットにさらに加えて硬い成分が含まれていることを示唆している。この結果とX線における「ジッター」の検出とを合わせて論文にまとめた。この論文は2010年4月にPublications of the Astronomical Society of Japanに掲載された。 さらに3年間の研究を博士論文としてまとめた。これにより2010年3月23日に京都大学で博士号(理学)を取得した。
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Research Products
(5 results)