2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04552
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
児島 大輔 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 埋蔵文化財センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 年輪年代学 / 仏教美術史 / 文化財 / 彫刻史 |
Research Abstract |
本年度は基礎作業として現生ヒノキ試料の年輪年代測定を行ったほか、解体修理現場等ではデジタルカメラを用いて彫刻作品の年輪画像撮影およびコンピュータ上での年輪計測を行った。また、顕微鏡を用いた解剖学的な樹種同定等、基礎的な作業を積み重ねている。 さらに、来年度以降の調査計画を策定するために福岡・観世音寺の不空羂索観音像内納入心木や山口・岩崎寺仏像群などの予備調査をおこない、その他ヒノキ製木彫像を中心に年代測定可能な像の選定にあたった。いずれも東大寺草創期と同時期に制作されたもの、あるいは12世紀末から13世紀初頭にかけての東大寺復興に関わる重要な作例である。これらの作例の制作年代等を明らかにすることによって、東大寺の成立過程を逆照射しようと考えている。 なお、当初予定していた東大寺西大門勅額付属八天部像および薬師寺東塔本塑造心木の年輪年代測定は、いずれも今年度は博物館の展示に供されているためかなわなかったが、調査に向けて引き続き交渉を進めてゆきたい。また、金銅仏等の調査に使用を予定していた複合X線分析装置に不具合が生じ、文化財を調査対象として使用するには躊躇されたため、今回は遺憾ながら使用を見送った。今後メンテナンスを行い、準備を整えた上で調査に用いたい。 文献史料の研究では、正倉院文書に記される用語と中世の史料に用いられる用語の比較検討によって、いくつかの興味深い結果を得た。今後、こうした視点からも検討を続けたい。 また、海外においては中国・洛陽石窟および洛陽城跡の踏査を行った。東大寺盧舎那仏と平城京あるいは甲賀寺と紫香楽京との比較検討にきわめて有益であった。
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Research Products
(2 results)