2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04562
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石渡 弘治 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超対称模型 / 暗黒物質 / 宇宙線 |
Research Abstract |
今年度私は、超対称模型において宇宙暗黒物質が崩壊する可能性に着目し、その場合に発生すると期待される宇宙線の研究を行った。近年宇宙線観測は、世界的に活発に行われている。とりわけ一昨年秋、PAMELA観測衛星は高い精度で宇宙線陽電子のフラックスを公表した。この結果によれば、10GeVから100GeVの高エネルギー領域において、標準的な宇宙物理学によって理解する事が難しい異常なフラックスが存在する事が確認された。私はこの異常フラックスに着目し、暗黒物質崩壊を起源とする宇宙線がこの異常フラックスを説明できると考えた。この可能性を詳細に研究するため、標準模型を越える素粒子模型として有力な候補の一つである超対称模型おいて、最も軽い超対称粒子(LSP)が崩壊するシナリオについての数値シミュレーションを行った。ここでは、一般的に考えられる3つのLSPに着目しそれぞれについての解析を行った。さらにこの解析では、標準的な宇宙物理学で期待される宇宙線フラックスについても銀河モデル数値シミュレーションパッケージを用いて包括的な計算を行った。その結果、崩壊する暗黒物質シナリオは宇宙線陽電子の異常フラックスは説明できることがわかった。さらにその後に公開されたFermi観測衛星による最新の電子/陽電子観測とも無矛盾であることも示した。また崩壊する暗黒物質からは一般に高エネルギーのガンマ線や反陽子も作られる。私はこれらの粒子についてもシミュレーションを行い、その結果最新の観測データと矛盾しない事を明らかにした。
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Research Products
(3 results)