2007 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系新規ポリマーブラシ型誘導体類の構造解析と機能評価
Project/Area Number |
07J04572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 穣 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セルロース / ポリマーブラシ / 溶液特性解析 / コンピュータシミュレーション / ナノファイバ |
Research Abstract |
本研究では、「従来の合成高分子系材料を超え得る、環境低負荷で生物分解性を有する新規機能性高分子材料開発」のための基礎研究を目的として、セルロースを出発高分子としたポリマーブラシ型高機能材料の開発および工業的な技術転移の検討を進めている。本研究において初めて得られた新規ポリマーブラシ型セルロース誘導体類は、(1)溶液状態での主鎖部分の運動制御挙動、および(2)常温での液晶性発現と成形可能な可塑性を有すること、さらに(3)反応の過程で新規な大環状構造を有するケテンダイマー多量体を生成すること、などの極めてユニークな特性を持つことが明らかとなっている。また、環境負荷の低減を目指して行った固体セルロースに対する溶剤フリー反応の適用から、同様にポリマーブラシ型セルロース誘導体が得られること、および反応の過程で有機溶媒に親和性の高いもしくは有機溶媒中に分散可能な新規表面改質セルロース材料の生成を見出した。以上のような状況を背景とし、平成19年度においては、[A]静的光散乱法とコンピュータシミュレーションを組み合わせた解析を用いることで、初めて本研究で得られたポリマーブラシ型セルロース誘導体類の持つ特異的な運動性制御挙動の可視化・数値化に成功し、また[B]固体セルロースに対する溶剤フリー系ベータケトエステル化反応に関する検討においては、最適な調製条件も見出し、木材パルプやバクテリアセルロース等の各種天然セルロース試料から表面疎水化セルロース繊維を調製することに成功したほか、得られた表面疎水化セルロース繊維が繊維携帯・セルロース性の強固な結晶を有しながら、同時に高い掻水性や熱性形成を有すること、および有機溶媒中での超音波処理によって太さ20nm程度の高アスペクト比のセルロースナノファイバの調製に成功した。
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Research Products
(6 results)