2008 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系新規ポリマーブラシ型誘導体類の構造解析と機能評価
Project/Area Number |
07J04572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 穣 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / ポリマーブラシ / アルキルケテンダイマー / ナノファイバー / サイクリックオリゴマー |
Research Abstract |
本研究では、セルロースを出発高分子としたポリマーブラシ型高機能材料の開発および工業的な技術転移を目的とし、検討を進めてきた。得られた新規ポリマーブラシ型セルロース誘導体類は様々な特性を有することが明らかとなっている。また、環境負荷の低減を目指して行った固体セルロースに対する溶剤フリー反応の適用から、同様にポリマーブラシ型セルロース誘導体が得られること、および反応の過程で有機溶媒に親和性の高いもしくは有機溶媒中に分散可能な新規表面改質セルロース材料の生成を見出した。このような背景から、平成20年度の実施項目としては、提出した研究計画書に基づき、[A]多糖類のポリマーブラシ型ベータケトエステル誘導体類の運動制御挙動解析、[B]溶剤フリー系ベータケトエステル化反応によって得られる表面改質セルロース繊維の特性解析、および[C]大環状ケテンオリゴマー多量体の構造解析・特性解析の3点を中心に取り組んだ。その結果、項目[A]においては高分子の剛直性のパラメータであるターン長の異常挙動や、ポリマーブラシ型ベータケトエステル誘導体の主鎖部分が非常に運動性が制御された状態である事を初めて数値的に解析することに成功した。項目[B]においては繊維形態を保持した事による表面ラフネスの増加に伴う高い撥水性の発現(水接触角115°以上)、ホットプレスによりセルロース結晶を保持したまま成型可能な物性の発現(透明/半透明フィルム化)、さらに有機溶媒中での超音波処理によってセルロースミクロフィブリルレベルにまで解繊可能(すなわち撥水型セルロースナノファイバの調製が可能)であることを初めて見出した。項目[C]においてはケテンオリゴマー多量体の調製・精製手法を見出し、解析を進めた。その結果、その大環状構造を初めて論理的・視覚的にとらえることに成功した。
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Research Products
(6 results)