2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類ミオシン重鎖遺伝導群の発現変動と筋分化の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
07J04576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 陽介 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋発生・筋分化 / ミオシン重鎖 / 遺伝子発現調節 / トランスジェニック / メダカ |
Research Abstract |
筋主要タンパク質ミオシンの生理機能の主体をなすミオセン重金(MYH)には多くのアイソフォームが存在し、組織や発生段階によって異なる発現様式を示すことから、MYH遺伝子(MYH)は筋発生や筋分化に重要な役割を果たすと考えられる。本研究では発生のモデル生物であるメダカを用いてMYHの発現調節機構を解析することで、魚類の筋形成機構を明らかにすることを目的とした。 まずメダカの筋形成過程で発現する主要な3種類のMYH(mMYH_emb1,mMYH_L1,mMYH_L2)についてRACE法およびショットガンシーケンス法により完全長cDNA配列5983〜6016bpを決定した。続いて得られた配列をゲノムデーターベースより検索し、各MYHの5'上流配列を特定したのち他生物種との比較を行った。その結果、mMYH_emb1の上流1kb付近にトラフグMYHの上流配列との相同性が認められ、MYHの転写調節が魚種聞で保存されていることが示唆された。さらにMYHの特異的な発現を制御する領城を特定するため、種々の長さの5'上流配列を蛍光タンパク質ベクターに組み込んだコンストラクトを構築し、メダカ受精卵に顕微注入し、発生過程における発現を調べた。その結果、mMYH_emb1の上流4kb,2kbを挿入したコンストラクトは遅筋前駆体が局在する水平筋隔で発現したのに対し、mMYH_L1およびmMYH_L2の上流それぞれ2.6kb,4kbの揚合では、速筋の前駆組織である筋節全体で発現が観察された。この結果から、MYHの上流領域が異なる筋組織での発現を制御することが示された。またmMYH_emb1の上流2kbを導入した個体を親魚として交配を行い、導入遺伝子を発現するF1世代の作出に成功した。確立されたトランスジェニック系統を用いることで、特定の筋線維の形成過程を可視化することが可能となった。
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Research Products
(6 results)