2008 Fiscal Year Annual Research Report
体節形成における分節時計の役割とその分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J04579
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 康貴 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 体節形成 / Hes7 / Notch / Fgf / オシレーション / Lfng |
Research Abstract |
われわれ人間の体は脊椎や肋骨などの規則正しい節構造を持っている。これらの元になるのが体節と呼ばれる発生過程の組織で、これらもまた規則正しく並んでいる。この規則性を生み出すのが分節時計と呼ばれる機構で、そこではNotchシグナル、Fgfシグナル、Wntシグナルに属する多数の因子が、未分節中胚葉(PSM)という新たな体節を生み出している組織において周期的な遺伝子発現振動(オシレーション)を繰り返し、時を刻んでいることが知られていた。 本申請者は昨年度、PSM特異的に発現しオシレーションしている転写因子Hes7の下流因子Dusp4を同定し、FgfシグナルとNotchシグナルとが協調的にHes7を制御し、またHes7はそれらのオシレーションを連動させていることを明らかにしてきた。本年度は、その発現動態を免疫染色法によりPSMにおいて可視化した。その結果、個々の細胞内のHes7オシレーションがPSM後方から前方へ伝播する過程で同調し、明瞭な境界を作っていくことが分かった。またその過程にLfngが必須であることが分かった。さらにNotchシグナルを欠失した細胞をモザイク状に作ることにより、Notchシグナルに細胞非自律的な作用があることが明らかになった。またFgfシグナルとNotchシグナルのオシレーションの位相のずれが、Mesp2の発現が1体節予定領域で同時に生じることに重要であることが示唆された。この結果から、Hes7によって連動しつつも、次第に位相がずれていくFgfシグナルとNotchシグナルの二つの時計が分節時計の分子メカニズムの基盤をなすと考えられる。本研究成果は、これらの時計の異常などにより生じ重篤な脊椎形成不全を示す先天性疾患spondylocostal dysostosis(SCDO)の治療法開発などへの手がかりになると思われる。
|
Research Products
(7 results)