2009 Fiscal Year Annual Research Report
体節形成における分節時計の役割とその分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J04579
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 康貴 Kyoto University, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 体節形成 / Hes7 / Notch / Fgf / オシレーション / Mesp2 |
Research Abstract |
ニワトリやゼブラフィッシュの研により、体節形成時にはPSMにおいて分節時計と呼ばれる遺伝子の周期的な発現変化(clock)が存在し分節化のタイミングをはかるのと同時に、PSMの尾部側からFGFなどの因子が濃度勾配(wavefront)を作り存在し分節化の位置を決定しているという"clock and wavefront model"が提唱されている。しかしながらそれらの二つを直接つなぐ分子メカニズムは未だ不明であり、またマウスの体節形成ではそのモデルを示唆する実験的事実にも乏しいのが現状である。本研究ではこれまでにマウスの体節形成において重要な因子であり、分節時計の一つでもあるHes7とFGFシグナルとの関係を解析することにより、転写レベルとしてHes7の発現がNotchシグナルだけでなくFGFシグナルにも依存し、FGF/MAPKシグナルの抑制因子と考えられるMKP2の発現を周期的に抑制することでFGFシグナルのオシレーションを生み出していることを見出した。今年度は、分節時計のアウトプットとしてMesp2遺伝子が将来の1体節分に相当する領域に周期的に発現する点に注目して、この遺伝子の発現動態の可視化を行った。さらにFGFシグナルとMesp2遺伝子の発現動態の関係を調べることで、FGFシグナルのオシレーションがMesp2遺伝子の発現のタイミングを決めていることを発見した。すなわち、振動子であるHes7によってFGFシグナルが振動し、分節化のための出力であるMesp2の発現するタイミングを決定するという、分節時計のシステムの分子実体が明らかになった。またこれらのことは、上記のclock and wavefront modelを支持する新しい実験的根拠でもある。本研究は、なぜ遺伝子の発現振動が周期的な体節形成を引き起こすかという問いに対する分子的な答えを提示している点で非常に重要であると考えられる。
|
Research Products
(4 results)