2007 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア地域における炭素14年代の列島間比較と環境史
Project/Area Number |
07J04615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國木田 大 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アムール / マラヤ・ガバニ遺跡 / 放射性炭素年代測定 / ベリカチ文化 / コンドン文化 / マリシェボ文化 / ヴォズネセノフカ文化 |
Research Abstract |
研究目的は、アムール流域、サハリン、東北・北海道地域の人類活動の変遷年代を詳細に解明することにある。本年度は、ロシア・アムール川河口域に位置するマラヤ・ガバニ遺跡の資料の放射性炭素年代測定を行った。これまで当該地域は、北海道の石刃鐵文化、オホーツク文化との関連が示唆される地域であったが、文化編年が確立しておらず、議論が進展していなかった。今年度は、新石器時代前半から、初期鉄器時代の各文化段階(コンドン、マリシェボ、ベリカチ、ヴォズネセノフカ、河口域ウリル系3期)の年代を明らかにすることができた。河口域ウリル系3期の年代は約2500BPで、マリシェボ、ベリカチ文化はほぼ同時期の約5000BP,ヴォズネセノフカ文化は約4100BPであることが分かった。コンドン文化に関しては、マリシェボ文化に先行する6200BPという年代値が得られているが、今後測定数を増やして議論したい。当該地域では、新石器時代前半期の年代値がほとんどなく大陸内や日本列島、環境データとの比較が困難であった。今回の年代を参考にすることにより、各文化集団の動態を時間変遷として捉えることが可能となり、環境との関係性も議論できるため、その意義は大きいと考えられる。今後は、各文化段階の年代をより詳細に解明し、北海道と密接に文化交流のあった時期や、各文化の変容時期の年代を確定していきたい。また、土器付着物の食性分析を並行して行い、文化交流・変容要因に生業の変化が関係していたのか議論を進めたい。
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Research Products
(14 results)