2008 Fiscal Year Annual Research Report
エクジソン生合成に必須なRieske型オキシゲナーゼNeverlandの機能解析
Project/Area Number |
07J04617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉山 拓志 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エクジソン / コレステロール / 脱皮・変態 / Rieske型酸化酵素 |
Research Abstract |
昆虫の前胸腺におけるエクジソン生合成経路に関与する分子として、進化的に保存された新規Rieske型酸化酵素Neverland(Nvd)を同定した。ショウジョウバエを用いた遺伝学的な解析により、Nvdはエクジソン生合成経路においてコレステロールから7-デヒドロコレステロールへの変換に関与することが示唆されていたが、その分子機能の詳細は不明であった。そこで、本研究ではNvdの細胞内機能を明らかにする目的で、培養細胞系を用いたコレステロール代謝活性測定法を確立した。この系により、カイコNvdにコレステロール代謝活性があること、誘導体化法を組み合わせた質量分析法により、代謝産物が7-デヒドロコレステロールであることを示しか。また、Nvdの線虫およびゼブラフィッシュ相同分子の代謝活性を解析し、Nvdが進化的に保存された新規のコレステロール代謝酵素であることを明らかにした。さらに、本年度はフランスCNRSとの共同研究を進展させ、ショウジョウバエ近縁種Drosophila pacheaにおけるNvdの機能を解析した。D.pacheaは、他の近縁種と異なり7-デヒドロコレステロール要求性であることから、コレステロールの代謝系に何らかの変化が生じていることが予想されていた。そこで、共同研究者によって同定されたDrosophila pacheaのNvd相同分子の酵素活性を解析したところ、コレステロール代謝活性は認められなかった。さらに、近縁種とアミノ酸配列の保存性を比較し、D.pacheaにおける特徴的な変異を見いだした。この変異を他種Nvd分子に導入したところ、コレステロール代謝活性が同じく消失することを明らかにした。以上の成果は、動物界のコレステロール代謝機構の進化と多様化の研究において、新しい展開をもたらすことが期待される。
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Research Products
(3 results)