2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04620
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 吏悟 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光導波路付きSi神経プローブ / オプトジェネティクス / チャネルロドプシン / 多機能集積化脳神経プローブシステム / 両面Si神経プローブ / マイクロ流路付きSi神経プローブ |
Research Abstract |
近年の脳科学の発展に伴い、脳疾患の治療や脳機能の解明、Brain-Machine Interface(BMI)などの研究が盛んに行われるようになった。これら、いずれの研究分野においても、神経細胞からの信号を記録する神経プローブが広く利用されており、必要不可欠なものとなっている。神経プローブの中でも、半導体微細加工技術を用いて作製されるSi神経プローブは様々な利点を有しており、これまで広く用いられてきた。我々はこのSi神経プローブへ種々のセンサや情報処理回路を搭載することで、活動電位記録のみならず脳機能の多角的な解析を可能とする「多機能集積化脳神経プローブシステム」の開発を進めている。これまで、より高密度な記録を実現するために両面に記録点を配置した両面Si神経プローブの開発を行い、それにより活動電位の高密度記録が可能であることを確認している。また、脳内への薬液注入を可能とする、Si神経プローブへのマイクロ流路作製技術を確立している。 本年度は遺伝子工学と光学を組み合わせたオプトジェネティクスにより、神経細胞の光刺激を可能とする光導波路付きSi神経プローブの開発を行った。従来、神経細胞を刺激するためには電気を用いた電気刺激や、薬液による化学的な刺激が一般的であった。しかし近年、光を用いた神経細胞の観察や刺激が脳科学分野の中で大きな広がりを見せている。光を用いることで、空間的・時間的に高い分解能で細胞を観察、刺激することが可能となる。特に光刺激に関しては、電気や薬液による刺激に比べ、神経組織に機械的及び化学的なダメージを与えないこと、選択的刺激が可能であることが利点として挙げられる。我々は、神経細胞に光感受性を持たせるため、それ自体がイオンチャネルとして働くチャネルロドプシンを遺伝子導入により発現させた。チャネルロドプシンは、可視光に応答してイオンを透過させ、分子単独で膜電位を変化させるという特徴を持ち、これにより神経細胞の光刺激が可能となる。このプローブでは、プローブ表面にSiNを用いた高屈折率領域を設け、光導波路のコアとしている。光の入射口はプローブ後端にあり、そこへ光ファイバーを固定する。光の伝搬実験においては、試作したSi神経プローブの光導波路内へ波長452nmのレーザー光の伝搬が可能であることを確認した。
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Research Products
(3 results)