2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀イギリスにおける都市空間の再編と動物観の変容
Project/Area Number |
07J04625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊東 剛史 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | イギリス / 近代史 / 都市 / ロンドン / 動物 / 自然 / 文化政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主に19世紀ロンドンを舞台に、都市における人間と動物との関係の歴史的な変化を考察することである。人間が動物をどのように認識してきたか、社会のなかで動物がどのように扱われてきたかという問題を通して、動物についてよりよく理解すること以上に、動物を比較対象とした人間の自己認識や、動物がその重要名構成員だった社会のおり方を理解することを目指している。 採用2年度目にあたる本年は、昨年行った史料収集と分析に基づいて、以下の論文を発表した。まず、「『幸福な家族』の肖像-19世紀ロンドンの動物史」(『史学』)は、ロンドンを中心にイギリス各地を巡業した動物の見世物の分析を通じて、動物を比較対象とした人々の自己認識や社会観を考察した。次に、11月に行われた第3回韓日英国史フォーラムにおける報告をもとに、'Mechanisms and Meanings of Scientific Enterprise'(Korean Journal of British History)を発表した。この論文は、ロンドン動物学協会と東インド会社による、ヒマラヤ産野鳥のスコットランド高地への気候順化の試みを、その遂行に携わった多様な人物の視点から分析したものである。 19世紀イギリスにおいて人々の動物観に影響をあたえたと思われるもののなかに、自然史の標本等を収集・展示した博物館の普及がある。このことに関連して、当時はまだ自然史部門が分離されていなかった英国博物館の管理・運営方法を考察した。具体的には、博物館の管理・運営を独立した理事会に委ねるという制度がどのように確立されたのかに着目し、1830〜70年代のイギリスの文化政策を分析した。その成果は、「英国博物館の再編と『信託管理』の確立-1830〜70年代のイギリスの文化政策」(『史学雑誌』)として発表された。
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Research Products
(4 results)