2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04636
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 拓弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒素-ホウ素結合 / 蛍光 / 分子軌道計算 / 励起状態 / カルバゾール |
Research Abstract |
本研究では、従来の含窒素π電子系にホウ素置換基を導入し、その電子構造および立体構造を修飾した一連の新規機能性化合物群の創製を目的としている。本年度は、炭素-炭素二重結合と等電子構造である窒素-ホウ素結合を有する化合物群に着目し、その物性評価を通じて、窒素-ホウ素結合の性質について明らかにすることを目的とした。含窒素π電子系としてカルバゾールを用い、その窒素上にジメシチルボリル基を導入したボリルカルバゾール1、および電子求引性のビス[2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)フェニル]ボリル基を導入した誘導体2を合成し、光物性の評価を行った。 これらの化合物はいずれも8000cm^<-1>を超える極めて大きなストークスシフトを示すことが明らかとなった。また、その蛍光極大波長はホウ素上の置換基により大きく異なり、2は1と比較して149nmも長波長側に蛍光極大波長を有することが明らかとなった。また、これらの特異な発光特性の原因を理解する目的で、分子軌道計算により基底状態および励起状態の構造最適化を行ったところ、これらの分子は基底状態でB=N二重結合性をもつのに対し、励起状態ではその構造が大きくねじれて二重結合性が低下することが示された。 窒素-ホウ素結合を有するπ電子系の光物性に関する論文はごく少数が報告されているのみである。本研究では、窒素-ホウ素結合という単純な構造に関する基礎的な知見を与えるという点において意義がある。分子軌道計算の結果、励起状態においてねじれた構造を有するという結果は非常に興味深い性質であり、窒素-ホウ素結合の本質に迫る重要な情報を与えるものであるといえる。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] ホウ素置換基を導入したカルバゾールの光物性2008
Author(s)
谷口 拓弘, Stephan Irle, 山口 茂弘
Organizer
名古屋大学グローバルCOEプログラム「分子性機能物質科学の国際研究拠点形成」第1回物質科学フロンティアセミナー精密分子設計に基づく機能創出
Place of Presentation
名古屋大学
Year and Date
20080111-12
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