2007 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞による血管新生を応用した心筋組織再生医療のための基盤研究
Project/Area Number |
07J04649
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
毛利 友美 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 組織幹細胞 / サイトカイン / 内皮細胞 / 血管新生 / 心血菅 |
Research Abstract |
心筋組織は、さまざまなサイトカインにより恒常性が維持されている。これまでに、IL-6関連サイトカインのひとつであるLIFが心筋組織幹細胞に作用し、血管内皮細胞に分化誘導することを明らかにしている。このことは、心筋組織幹細胞が、新生血管構成細胞のsourseのひとつとなり得ることを示唆する。そこで、本研究では、組織内に存在する幹細胞を標的として心筋組織内の血管新生を誘導することにより、心筋組織の修復・再生を促すという治療戦略の確立を目的としている。平成19年度は、心筋組織幹細胞を血管内皮細胞に分化させるシグナル伝達系の解明を目的とし、LIF以外のIL-6関連サイトカインをはじめとするサイトカイン・細胞増殖因子の内皮細胞分化誘導能に関して検討を行なった。その結果、IL-6関連サイトカインであるIL-11により心臓由来Sca-1陽性細胞の内皮細胞への分化が誘導されることを見出した。また、IL-6関連サイトカインに共通のレセプターサブユニットであるgp130の活性化、及び、gp130の下流のシグナル伝達分子である転写因子STAT3の活性化が、内皮細胞分化に必要である可能性が示唆された。IL-6関連サイトカインファミリーには属さないTNF-αやIL-1βには、分化誘導能は認められなかった。また、心筋組織幹細胞の内皮細胞への分化誘導メカニズムを解明するために、IL-6関連サイトカイン刺激により心筋組織幹細胞において発現誘導される遺伝子群の探索を行ったところ、心臓由来Sca-1陽性細胞において、IL-6関連サイトカインにより発現誘導される分子として、ESE-1およびPim-1を同定した。以上の成果は、IL-6関連サイトカインシグナルが組織幹細胞の分化を制御している可能性を示唆するものである。
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Research Products
(2 results)