2007 Fiscal Year Annual Research Report
視覚意識の持続・更新過程に関する心理物理および脳機能イメージング法による研究
Project/Area Number |
07J04661
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山城 博幸 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視覚意識 / 脳機能イメージング / fMRI / 視覚野 / レチノトピックマッピング / 連続フラッシュ抑制 / 心理物理学 |
Research Abstract |
本年度の目的は、低次から高次の視覚野が、視覚意識の形成にどの程度寄与するかを明らかにすることであった。連続フラッシュ抑制と呼ばれる錯視現象を利用して、物理的に同一の刺激に対する視覚意識が存在するときと存在しないときのレチノトピックな視覚野の活動を、fMRIを用いて測定した。連続フラッシュ抑制とは、被験者の片目にフラッシュ刺激を連続呈示すると、もう片目に呈示された刺激が、数秒から数分の単位で見えたり見えなくなったりする現象である。各視覚野のターゲット刺激に対するレチノトピックなfMRI応答を、ターゲット刺激が見えていたときと、見えていなかったときで分離し、視覚野間で比較したところ、以下の3点が明らかになった。(1)見えない刺激に対しても、測定した全ての視覚野(V1,V2,V3,V4,V3A,V7,MT,V8,LOc)で、レチノトピックな応答が観察された。これは、視覚意識の形成に直接関与しない視覚処理が、低次から高次の視覚野で行われているとを示唆している。(2)見える刺激に対する応答は、見えない刺激に対する応答よりも、全ての視覚野で強い傾向が見られた。このことは、視覚意識の形成に、低次から高次の視覚野が関わっていることを示唆している。(3)この応答の増強は、低次視覚野(V1,V2,特にV1)よりも、中次・高次視覚野(V3,V4,V3A,V7,MT,V8,LOc)で大きかった。これは、視覚意識の形成には、低次から高次の視覚野が階層的に関与していることを示唆している。本年度研究によって、視覚意識・無意識に関わる脳活動の分離のための基礎的な実験パラダイムおよびデータ解析法が開発できた。また、本研究の主要な目的である「視覚意識の持続・更新に関わる神経メカニズムのモデル化」のための基礎的なデータが得られた。
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Research Products
(3 results)