2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04663
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 信子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | fMRI / 絶対音感 / TMS |
Research Abstract |
ヒトの音声言語認知において、物理的に異なる音声信号が同一音として知覚される現象を音声言語の知覚的範疇化と呼ぶ。例えば、/r/-/l/という音声コントラストは日本語話者には同一音として知覚される(Goto,1972)。末梢の聴覚系の特性から、この現象には中枢における何らかの認知過程の存在が不可欠だが、これに関する機能領域については解明されて来なかった。我々は、この神経基盤の特性、役割を明らかにするため、認知心理学的手法である反復プライミング法を機能的磁気共鳴画像(fMRI)に適用するという独自の実験手法を用いた。被験者15名についてfMRIにより単語の反復に伴う局所神経活動の賦活及び減衰を、音声・知覚の両水準について測定した。その結果、左上側頭回後方に、音声言語の知覚的範疇化に関して中心的な役割を果たすと考えられる領域を見出した。この研究により、日本人の外国語認知における特性に関する知見が得られた。 絶対音感保持者の音楽認知過程については従来、前頭葉の寄与を中心にその解析が行われてきた(Zatorre, et. al.,1998)。しかし、絶対音感はその特質から、ボトムアップ的な認知過程を経ることが想定されており、前頭葉の関与しない、聴覚連合野における処理過程の存在が示唆されるが、これに関する報告はわずかである。我々は、前頭葉の影響を排した認知過程を観察するのに有効な方法である反復プライミングを用い、fMRIでその脳活動を測定した。絶対音感保持者群17名、非絶対音感保持者群16名に対し心理実験を施行し、fMRIにより局所神経活動の賦活及び減衰を測定したところ、絶対音感に寄与すると考えられる領域を見出した。この研究により得られた結果は音楽認知に関する基礎的知見を提供するばかりでなく、音楽教育においても多大な貢献を為し得ると考えられる。
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Research Products
(4 results)