2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04676
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
良知 健 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クラスレート / ラットリング / フォノン / 超伝導 |
Research Abstract |
シリコンおよびゲルマニウムからなるクラスレート化合物を用い、その電子物性とフォノンについての研究を行った。クラスレート化合物はかご状の構造を持ち、内部に原子を内包している。本研究ではかご状構造の異なるクラスレート化合物に対して系統的な実験を行い、そこに見られるフォノンの性質について議論を行った。また、かごの内部に内包される原子の種類や、かごを構成する元素の種類の違いからもフォノンが与える物性への影響を議論した。クラスレート化合物ではC60のような、クラスター間に相互作用が殆ど働かない系と異なり、クラスター間に強い相互作用が存在する。また、内包される原子のフォノンは外側のケージのフォノンと相互作用をし、外側のケージはケージを伝播する伝導電子と相互作用をする。そのため内包される原子のフォノンは外側のケージを介して伝導電子と相互作用をする。ここでケージと内包原子との間の相互作用については、内包する原子、ケージの構造ならびにその構成元素により状況が異なることを明らかにした。Type Iクラスレートではこれまでに中性子弾性散乱やラマン散乱、第一原理計算の結果から内包原子がその種類に応じてon-centerおよびoff-center振動を示すことが報告されている。本研究では軟X線光電子分光実験から、Sr原子やBa原子がGaとGeから成るケージの作るポテンシャルの中で静的に振舞っている結果を得た。一方のType IIIクラスレートではケージを構成する元素の異なるBa24IV100(IV=Si,Ge)を用いて、温度の低下とともに内包原子の運動が静的なモードへと推移する過程を観測した。
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Research Products
(7 results)