2009 Fiscal Year Annual Research Report
オマーンオフィオライト後期火成岩類の岩石学的研究による初期島弧発生プロセスの解明
Project/Area Number |
07J04690
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 秀策 Niigata University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オフィオライト / 火成岩岩石学 / 地質学 / 地球化学 / U-Pb年代測定 / 海洋地殻 / オマーン / LA-ICP-MS |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は、オマーンオフィオライトでの現地野外調査と試料採取、室内において採集した試料の岩石薄片の作成・記載、全岩化学組成分析、鉱物化学分析、分離した鉱物のU-Pb年代測定である。研究の成果として、採集した試料の室内での解析と現地調査で作成されたルートマップから、昨年度までに作成されていたオマーンオフィオライト北部Fizh岩体北部域(Wadi Rajmi地域)における1/50000地質図の範囲を南北に約10km拡張することができた。さらに細部の補足調査から、斑れい岩類の岩相変化やシート状岩脈群の貫入走向などのデータが集められ、より詳細な構造データが把握された。作成された地質図から、本調査地域における斜長花崗岩類の産出が地殻の比較的深部の斑れい岩層中に後期貫入する斑れい岩岩体の上部境界部に集中することを明らかにした。これら斜長花崗岩類の全岩微量化学組成から、先行研究によって議論されてきた斜長花崗岩類の化学組成の区分と、斜長花崗岩類が貫入する層序の位置関係とが対応していることを明らかとした。従来本調査地域の斜長花崗岩類は海洋地殻の比較的浅部である斑れい岩とシート状岩脈群の境界域に発達した海嶺軸下のマグマ溜まりにおける部分溶融反応がその成因であるとされてきたが、本調査地域に分布する岩体の大部分がより深部(西部)の斑れい岩層中に分布していることなどから、海嶺下マグマ溜まりにおける火成活動ではなく、より後期の火成活動に由来していることが示唆される。また、地球化学的特徴の解析からその成因は中央海嶺玄武岩質溶岩よりも、水に富みTiや希土類元素などに乏しいマグマの結晶分化作用により形成されたと予想される。さらに、本調査地域の斜長花崗岩類から分離したジルコンのU-Pb年代値が約95Maを示すことも、その起源が後期の火成活動であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)