2007 Fiscal Year Annual Research Report
貫通孔構造を有するかご状中空シリカ粒子を用いた細胞型バイオリアクターの開発
Project/Area Number |
07J04696
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
塩見 徹 Tokyo University of Science, 理工学部, 特別研究員DC2
|
Keywords | ナノバイオテクノロジー / 材料化学 / バイオリアクター / 無機中空粒子 / 人工細胞 / リゾチーム / シリカ |
Research Abstract |
本研究者は、細胞型バイオリアクター構築に向け、貫通孔構造を有する無機中空粒子を新規に合成し、貫通孔を分子輸送チャネルとして利用した粒子内部への生体高分子の内包化を試みた。 当初リゾチーム分子を用いたシリカバイオミネラリゼーションと超音波処理を組み合わせた手法により貫通孔構造を有する中空シリカ粒子を合成したが、検討を進めた結果、超音波処理によって、(1)貫通孔の形状や膜厚にばらつきが生じる、(2)殻構造の機械的強度が弱く合成時に破壊してしまう、等の問題点が生じることが明らかとなった。そこで超音波処理を必要としない合成方法の検討を行った結果、非中空リゾチームーシリカハイブリッド粒子をアルカリ溶液で水熱処理することによって、上記中空粒子と同様な貫通孔構造を有するアルミノシリケート中空粒子を合成することに成功した。新たに得られた中空粒子は、貫通孔形状のバラつきが少なく、合成時の破壊を抑えることが可能できたため、この中空粒子を用いて赤色蛍光タンパク質(DsRED)のシップインボトルによる内包化を試みた。中空粒子をDsRED溶液に分散させた後、タンパク質架橋剤を添加してDsRED同士を架橋した結果、中空粒子内に内包化されたDsREDを蛍光顕微鏡にて確認する事ができた。架橋・内包化されたDsREDの外形は中空粒子の殻構造よりやや小さく、殻構造によって粒子内部での重合が制限されている事が示唆された。貫通孔を自由に通過できる単体のDsRED分子は粒子内外へ移動できるが、粒子内部にて架橋化されたDsRED重合体はその大きさが貫通孔の径を上回ると、粒子外部へ移動することができなくなる。このようなシップインボトル形式の生体高分子の内包化は、無機中空粒子の形態を活かしたバイオリアクター構築のモデルになるものと期待され、本研究成果は、今後より複雑な機能性構築や内包化分子の挙動解析などに展開するものと思われる。
|
Research Products
(3 results)