2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04702
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長門石 曉 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質-DNA間相互作用 / 四本鎖DNA / 熱力学的解析 / トロンビン蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質結合による4本鎖DNA構造の制御に関する知見は,生体内におけるゲノムDNAの機能制御や,生体分子材料としての4本鎖構造を基盤としたDNAナノデバイスにおいて有用である。本研究員は以前に,thrombin蛋白質とDNAアプタマー(TBA)を用いて,金属カチオン非存在下においてthrombinがTBAを四本鎖構造へ誘起させることを円偏光二色性(CD)スペクトル測定によって明らかにした(Biochem.Biophys.Res.Commun.,352,812,(2007))。 このThrombinとTBA間の相互作用に関する詳細な解析を行うために,動物細胞COS7を用いて前駆体prothrombinからのthrombinの大量発現を行った。イオン交換カラムクロマトグラフィー,heparinカラムクロマトグラフィーによる精製を行い,相互作用解析が可能な高純度のthrombin大量発現に成功した。 これを用いて等温滴定型熱量測定によるTBAとの相互作用解析を行った結果,TBAがアンフォールド状態にあるNaCl条件下における会合定数は,TBAが4本鎖構造にフォールドしたKCl条件下における会合定数と同程度の値を示し,TBAとthrombinの複合体はいずれも1:2であった。また得られた熱力学的パラメータは,NaCl条件下においてよりエンタルピー得かつエントロピー損な相互作用であった。CDスペクトル測定の結果,KClとNaCl条件では複合体の4本鎖TBAはほぼ同じ構造であったことから,NaCl条件下におけるよりエンタルピー得かつエントロピー損な相互作用は,アンフォールドなTBAがthrombinとの結合により4本鎖構造へと誘起されたことに由来するエネルギー変化であることが明らかとなった。さらに,NaCl条件下でのthrombin結合TBAの熱安定性を測定した結果,K^+によって安定化された4本鎖TBAと同程度の安定性(約50℃)を有していることも明らかとなり,thrombinによるTBA4本鎖のループ構造の安定化がG-quartet構造の安定化に寄与していることが示唆された。これらの結果は,蛋白質によるDNA4本鎖構造の制御における生物学的な知見と,生体分子材料における4本鎖構造を基盤としたDNAナノデバイスにおいて有用なストラテジーを与えるものと期待される。
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Research Products
(4 results)