2007 Fiscal Year Annual Research Report
エマニュエル・レヴィナスを中心とした戦後現象学における政治の問題
Project/Area Number |
07J04703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡名喜 庸哲 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エマニュエル・レヴィナス / フランス哲学 / 戦後現象学 / 政治思想 |
Research Abstract |
本研究は、戦後現象学に位置づけられる哲学の中でもエマニュエル・レヴィナスの哲学に注目し、そこにおける政治の位相を明らかにすることを目的とし、(1)レヴィナスにおける「ユダヤ闇題」と政治の関連(ヒトラー主義、全体主義批判、および「イスラエル」の問題系)、(2)倫理思想の構築そのものにおける政治批判(主箸『全体性と無限』における政治批判の意磯)、(3)レヴィナスが『存在の彼方』以降提唱する正義論の意義、の各テーマを主軸に、研究を遂行しでいる。 平成19年度においては、上記諸点につき、関連文献の調査・読解を中心に研究を進めた。第一に、拙論「30年代のエマニュエル・レヴィナスにおける「ヒトラー主義の哲学」批判」では、30年代のレヴィナスの思想における「ヒトラー主義」の批判の哲学的含意を、同時期のレヴィナスの思想背景を考慮しつつ位澱づけ、同時にこの初期思想がレヴィナス哲学全体においても一つの転機をなすものであることを明らかにした。第二に、上記(2)につき、レヴィナスの主著『全体性と無限』に見られる「作品」概念と、その後の思想における同概念の差異について、その差異の整合的解釈を提示し、同時にこの解釈がレヴィナスにおける政治の位相の解釈に哲学的な土台を与えるものであることを指摘する学会発表を10Eに行った。この発表の成果を踏まえ、さらにその後明らかとなった点も加味し、加筆修正した論文は『フランス哲学・思想研究』に掲載予定である。上舘研究計画のうち、レヴィナスにおける政治の問題におけるユダヤ思想の影響およびイスラエル等の「ユダヤ問題」をめぐる研究については平行して継続中であり、来年度中に公表を予定している。
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Research Products
(3 results)