2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本浄土教における中世神道理論の受容と形成-了誉聖冏著作の研究-
Project/Area Number |
07J04728
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 英之 Ibaraki University, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 聖冏 / 中世神道 / 麗気記 / 神道図像 / 日本書紀私鈔 |
Research Abstract |
日本浄土教における中世神道理論の受容と形成の過程を解明すべく、浄土宗の学僧、了誉聖冏(1341〜1420)の神道著作である『麗気記私鈔』『麗気記神図画私鈔』『麗気記拾遺鈔』(以下『私鈔』『神図画私鈔』『拾遺鈔』)と『日本書紀私鈔』の研究を行った。 まず、聖冏著作中、もっとも浄土教学色が強い『拾遺鈔』の研究を行った。その結果、聖冏が、独自の教相判釈説により浄土宗の神の優位性を主張し、さらに浄土宗の神の力を念仏の功徳と同一と考え、阿弥陀仏と神との完全な同体を説くなど、高度な神道論が、聖冏の浄土教学にもとづき展開されていたことを論証した(『宗教研究』358。2008)。 また『私鈔』『神図画私鈔』における「神体図」に関する註釈を抽出し、考察を加えた。その結果、聖冏が、『麗気記』に描かれる神体図を「重如月殿」という図像の展開形ととらえ、さらに、両宮不二・両部不二という伊勢神宮の深秘のシンボルとして重要視していたことを論証した(投稿中)。 また、聖冏と、ほぼ同時代の天台僧良遍の神体図註釈を比較検討し、中世学僧の神体図解釈の諸相について考察した。その結果、同じ図像であっても註釈書により解釈が全く異なること、神体図は、言説と同じく、註釈されることで無限に解釈を増殖させる『麗気記』をとりまく秘伝のひとつだったことを明らかにした(『神道宗教』213。査読・受理済。2009刊)。 さらに、『日本書紀私鈔』の研究を行い、茨城県立歴史資料館本、東洋文庫本で諸本調査を行い、校訂本文を作成した。上記の研究成果については、既にいくつかを学会発表、論文発表などで公開した。さらに残りの成果についても順次公開する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Book] 古鈔本『江都督納言願文集』2009
Author(s)
吉原浩人, 編集, 七田麻美子, 共編, 鈴木英之, 共編
Total Pages
77
Publisher
二松学舎大学21世紀COEプログラム「日本漢文学研究の世界的拠点の構築」
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