2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫逆遺伝学を利用した筋収縮抑制性脂質メディエーターの同定と解析
Project/Area Number |
07J04734
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今江 理恵子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アシルトランスフェラーゼ / リン脂質 |
Research Abstract |
acl-10変異体は上皮細胞の分化に異常を示すことを明らかにしている。この表現型を詳細に解析する目的で、上皮細胞の分化マーカー(核にGFPが発現)を用いて経時的に観察した。その結果、acl-10変異体では上皮細胞の分裂の過程に異常を来たし、その後の分化に異常が生じていることが分かった。一方で、マススペクトロメトリーを用いた網羅的な脂質解析から、acl-10変異体において変動している脂質画分があることを見出していた。そこで、ガスクロマトグラフィーを用いた脂肪酸の定量を行ったところ、脂肪酸組成に顕著な変動があることが明らかになった。これらの結果から、acl-10は脂肪酸組成の規定に重要であり、この脂肪酸組成が、上皮細胞の分裂過程において重要な役割を担っていることが示唆された。さらに、acl-10と機能的に関連する遺伝子を網羅的に探索する目的でサプレッサースクリーニングを行い、2つのサプレッサー遺伝子についてマッピングを行った。その結果、特定のリン脂質代謝酵素群がサプレッサー遺伝子となることが明らかになった。acl-10とこれらの酵素の関連をさらに詳細に解析することにより、上皮細胞の分裂過程の新たな分子メカニズムの解明につながることが期待される。また、acl-10の機能が高等動物にまで保存されているのかを調べるために、今後動物細胞やマウスを用いた機能解析を行うことが期待される。現在までに、発現抑制系の構築が完了している。
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Research Products
(1 results)