2008 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカザリガニを用いた甲殻類における左右非対称性に関する生態学的、行動学的研究
Project/Area Number |
07J04745
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東保 しょう子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 左右性 / 甲殻類 |
Research Abstract |
左右性(Laterality)とは、左右相称に見える動物でも、遺伝的に左右どちらかが構造的・機能的に優位になるという現象であり、現在までで脊椎動物の幅広い分類群において形態的・機能的な左右性が発見されている。左右非対称な形質について、至近要因として脳の機能の左右非対称化(Lateralization)があげられているが、その究極要因についての追究は乏しい。また、非対称性の進化的な起源や意義を探る上で、この形質の広がりを知ることは重要であるが、脊椎動物に比べ無脊椎動物を対象とした研究は非常に少ないのが現状である。 本研究では形態計測や交配・行動実験に好適の材料であるアメリカザリガニを用いて、甲殻類における左右非対称な形態や行動の至近要因を行動学的・解剖学的に調査した。また、野外個体群を対象に生態学的な調査を行った結果、野外個体群においても左右の二型がみられた。タンガニイカ湖産の鱗食魚にでは、捕食-被食関係における小数派有利の頻度依存選択が働くことによって左右二型が維持されていることが示されている。アメリカザリガニについても、捕食者との相互作用によって左右二型が維持されているという仮説を立て、その逃避行動に左右非対称性があるかどうかを確認する実験の準備を行った。また、各型の間で交配実験を行ったところF1では、右ホモのペアの幼体は有意に右型が多かった。さらにこの実験を推し進めてF2を作成し形質分布をみることで、左右性の遺伝基盤を解明する端緒を得た。
|
Research Products
(1 results)