2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04769
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松木 大造 Kanazawa University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視床下部 / GABA / レプチン / 電気生理学 / 覚醒・睡眠 / 摂食・代謝 / 遺伝子改変マウス / オレキシン |
Research Abstract |
神経ペプチド・オレキシンは食欲や睡眠、報酬系の制御に重要であることがわかってきた。オレキシン産生神経の活性制御機構はこの神経伝達物質によるさまざまな生理作用を知る上で重要であると考えられる。オレキシン遺伝子プロモーター制御により緑色蛍光蛋白質を発現する遺伝子を持つトランスジェニックマウスを用いることにより、蛍光顕微鏡観察下にオレキシン産生神経を同定できる。また電気生理学的手法を組み合わせることにより、オレキシン産生神経に対する生体内因子の作用を調べることができ、上記実験材料を用いることによって、神経伝達物質の一つ、GABAがオレキシン神経を抑制することがわかった。この作用は、いくつかある受容体のうちGABAB受容体を介した作用であることがわかった。このGABAB受容体を介した抑制入力の生体内での意義を検討する目的でGABAB受容体を欠損した遺伝子改変マウスの作製・解析を試みた。 オレキシン神経特異的Creリコンビナーゼ発現マウスによってオレキシン神経特異的にGABAB1受容体遺伝子を欠損したマウスを作製した。このマウスの脳波筋電図を測定し睡眠状態について解析した結果、明期・暗期ともに顕著な睡眠ステージの分断化が確認された。オレキシン神経へのGABAB受容体を介した入力は、睡眠の維持に重要であることが示された。このGABAB受容体を欠損したオレキシン神経では、過剰なGABAA入力が起こり、その結果オレキシン神経の膜の入力抵抗が低下し、そのことにより興奮性・抑制性入力に対する感受性が低下していることがわかった。またGABAA入力の過剰は、オレキシン神経からの介在神経へのオレキシン1型受容体を介した入力がその原因であることも明らかにした。 以上の成果は、睡眠制御を司るオレキシン神経の活性制御機構を知る上で重要な知見であり、オレキシン神経にあるGABAB受容体を標的とした睡眠安定化薬の可能性を探る成果である。
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Research Products
(3 results)